「WEEKEND BOOKCLUB」9月号では、イラストレーター原倫子さんに特集「おんなたちよ!」に合わせた作画をお願いしました。
作品に「本を読む女性」を多数描かれている原さんに、本の選び方や読書がご自身に与えた影響など伺いました。
—今回「おんなたちよ!」という特集テーマに合わせてイラストを描いていただきましたが、どんなインスピレーションが基になったのでしょうか?色使いや作画のポイントについてもポイントがありましたら教えてください。
まず始めにイメージするのは全体の色です。季節感も入れたいと感じでいて、9月の休暇に本がある様子、海よりは高原の爽やかなところがいいかな、という風に組み立てていきました。リラックスしながら適当に目についた本を手に取ってパラパラ眺める、そんな本との付き合い方も素敵だなと思います。
—原さんは「本」が登場するイラストを多数描かれていますが、普段から本はよく読まれますか?
常に何かしら読んでいる作品はあるので、普通レベルの本好きだと思います。読むのがとても遅いうえ、気に入った作品をしつこく読み返すので読書量は少ない方です。
本がある場所に居るのがとても好きですし、本を読んでいる人の仕草が好きなので頻繁に絵に描いているのかもしれません。
—読書がご自身の感性や暮らしに影響を与えていると感じますか?
はい、それはもう直接的に影響を受けています。短いセンテンスや単語から絵のイメージを広げることが多いです。自身の初めての個展のタイトル「的皪(てきれき)」は、澁澤龍彦の『フローラ逍遥』(平凡社)で初めて出会った言葉でした。
—どんなポイントで読みたい本を選んでいますか?
私はとてもミーハーなので、自分の好きな人(作家に限らず)がおすすめしている本はまずチェックして、そこから関連の作品をあたっていく感じです。
衝動買いをするのはミュージアムショップに併設された本屋さんや絵の展示スペースがある本屋さんが多いです。「何てかっこいい絵なんだ!」と感化されて勢いで本を買ってしまいます。
—ご自宅の本棚を見せていただけますか?
本棚全貌はちょっと無理だったのでちょっとだけ(笑)
お気に入りの10冊は左から、
『小さなロシア』ジャンルイジ・トッカフォンド
『ムーン・パレス』ポール・オースター
『プレーンソング』保坂和志
『話の終わり』リディア・デイヴィス
『なめらかで熱くて甘苦しくて』川上弘美
『"IHATOV”FARMERS’ SONG』秋山花
『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン
『のりたまと煙突』星野博美
『フローラ逍遥』澁澤龍彦
『愛人 ラマン』マルグリット・デュラス
—原さんの定番の読書シチュエーションはありますか?
寝る支度をすっかり整えてふとんの中で読書をするのが習慣です。疲れていると一行ぐらいでもう寝てしまって、ぜんぜん進まないのですが笑。
原倫子(HARA TOMOKO)
イラストレーター
長野県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科、MJイラストレーションズ卒業。書籍、雑誌等エディトリアルを中心に活動の幅を展開。
Officialsite https://tomokohara.tumblr.com/
Instagram https://www.instagram.com/hararin616/