多様な出会い方がある中で、ドラマや映画のような”ロマンチックな出会い”を「本」を介して提供する『Chapters bookstore(チャプターズ ブックストア)』を運営するMISSION ROMANTIC代表森本萌乃さんにお話を伺いました。
-Chaptersのサービス内容について教えてください。
毎月、季節性やトレンドを踏まえたテーマに会わせて選書した4冊の文庫本から1冊が届き、同じ本を読んだ会員とのオンラインチャット(アペロ)に参加できるサブスクリプション型オンライン書店サービスです。
本だけでなく、人とのロマンチックな出会いを提供する新しいマッチングサービスとしても楽しんでいただけます。
–サービスを思い立ったのはどのようなきっかけだったのでしょうか?
私自身がマッチングアプリを使っていた時に感じた、「何か違う」感がサービス開発の大きなきっかけとなりました。人との出会いにおいて、目的から逆算して最短距離を目指すというプロセスに、なんとなく馴染めなかったんです。そんな時に偶然テレビで見かけたのが、金曜ロードショー「耳をすませば」でした。映画を観た瞬間これだ!と思い、その時走り書きしたアイディアが、現在のChaptersのサービス内容に繋がっています。
一般的なマッチングアプリはゴールから逆算されたサービスがほとんどですが、Chaptersでは映画のような「出会い方」にこだわっています。「本棚で手と手が重なるような出会い」をコンセプトに、映画のイントロのような出会いを生み出す場、だからこそChaptersは書店であることが大前提なのです。あくまでも書店、だけど出会いの予感がある、そんないいとこ取りの空間を目指しています。
-Chaptersの参加者からの反応やロマンチックなエピソードがありましたら教えてください。
「出会い方」にこだわるあまり、正直その後のお客様のストーリーについて我々は中々把握しずらいのですが…、時々お客様がアンケートやSNSで教えてくださいます。
「後日、一緒に書店デートに出かけました!」
「住んでいるエリアが離れていたので、出張のタイミングに待ち合わせしてお茶をしました。」
「気の合う友達ができて、今度一緒に旅行に行く計画を立てています!」
これらは私の耳まで届いたお客様からのエピソードで、とても嬉しいです。他にも色々なアフターストーリーが生まれているといいなあと妄想しています。
-「本」がきかっけとなる出会いの魅力はどのようなものだと思いますか?
やはり「目的から入らない」という点が大きいと思います。本を買う・本を読むという日常行為の延長線上に出会いがあることで、出会いのハードルがグッと下がるし、必ずしも人と出会わなくてもいいというのが心理的に相当楽だなと…。実際、本との出会いだけを毎月楽しんでくださっている方も大勢いらっしゃっいます。無理せず多くの方に使っていただけるのがChaptersの魅力かなと思います。
-「本」を商品として扱うサービスをされているなかで感じたおもしろさと困難はありましたか?
初対面の人と話す時、たとえ本が面白くなくても盛り上がるというのが面白いですね。毎月想いを込めて選書していますが、全員にとって面白い本を選ぶのはどうしても難しいです。けれど「こういうところがつまらなかった」とか「残念だった」というネガティブな感想を持った場合でも十分盛り上がれる、これはエンターテインメントとしての本ならではの魅力だと思います。またビジネス的には、本は返本が効くので在庫リスクを追わずに始められるのは大きな利点でしたね。
一方で難しさを感じているのは、縮小していく市場になぜ新規参入するんだという周りからのフィードバック。けれど私は本屋さんになりたくてなったし、うまく行くと信じているので正直関係ないといえばないのですが…笑。業界全体に漂う焦燥感が想像以上であることに驚きました。
-森本さんはプライベートではどのような本がお好きですか?また本とはどのように出会うことが多いですか?
私は元々フィクション作品が好きで、今はChaptersの選書作業もあるのでよりどっぷりと物語の世界に浸かっています。最近は長編に疲れると、エッセイや詩集・短歌も読むようになりました。
本は自分で選ぶより人のお薦めを読むのが圧倒的に好きです!ですので毎月の選書で出版社さんや書店さんをお迎えして、そのリストを片っ端から読んでいく作業が、実は私にとっては趣味であり楽しみでもあります。
-影響を受けた本と、どのように影響を受けたか教えてください。
パウロ・コエーリョの「アルケミスト」は、人生の大きな決断を下す際にいつも思い出す作品です。『自分の中に一度芽生えた夢は、自分がそれに向けて動き出さないといつまでも消えたり忘れることはない』という考え方に影響を受けています。オバマ前大統領もこの本に影響を受けたという話を後から知り、嬉しくなりました笑。
また久しぶりにこれはすごいと感動したのが、瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」です。人とちょっと違う自分の境遇って、これでもかとばかりに自分を語る上でのストーリーとして消化しがちな現代ですが、その逆をいく主人公の美しさや軽やかさに、少なからず影響を受けました。さすが、本屋大賞受賞作だなあ…と、周りから何周も遅れて最近良さに気付きました笑。
-可能でしたら森本さんの本棚を覗かせてください!
-Chaptersが気になっている方へメッセージをお願いします!
Chaptersのお客様は、久しぶりに読書を再開したり、これまであまり読書に触れてこなかった方が半数以上です。マッチングサービス 、と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、ちょっとした新しい習い事感覚で始めてみると、想像以上に楽しんでいただけるかと思います。
一緒に読書を楽しむ仲間が増えること、私自身も楽しみにしています!
Chapters bookstore /チャプターズ書店
https://chapters.jp/top
https://www.instagram.com/mission_romantic/
森本さんプロフィール
株式会社MISSION ROMANTIC代表。2013年新卒で株式会社電通に入社後、My Little Box、FABRIC TOKYOへの転職を経て独立。2020年より「Chapters bookstore」β版をリリース。2021年6月グランドオープン。オンラインに留まらずリアル書店やホテルとのコラボ等、本棚で手と手が重なる瞬間を現実に生み出すロマンチックな出会いづくりの場を拡大中。
https://www.instagram.com/moeno_morimoto_romantic/